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平成17年9月 15日
平成17年度 青税兵庫研究部海外研修報告 副支部長 坂本 麻生
副支部長 坂本 麻生
【会計帳簿について】
1.会計帳簿
今回の研修に際して、訪問先の会社より、帳簿としては総勘定元帳・現金出納帳・銀行帳・振替伝票を、また、原始資料として領収書綴りをそれぞれ見せていただくことができました。当然のことながら数字以外はすべて漢字表記されているわけでありますが、意味を推測できるもの、判らないもの、それぞれが混在していました。総勘定元帳を見ていて気づいたのですが、相手科目欄が表示されていず、そのかわりに伝票番号が表示されていました。つまり、伝票番号を基に振替伝票を見て始めて、取引内容が理解できることとなります。これが、統一的な様式なのかいなかわかりかねますが、日本でも事業所によって多少様式が異なるものがありますので、訪問先の会社の採用した様式がたまたまそのようなものであったということなのだと推測しております。
2.増値税
日本との大きく異なるものとして増値税(日本の消費税に相当)があります。その相違点とは、要するにインボイス方式によっている点でしょう。インボイス方式とはご承知のように、増値税の納税額を計算するに際して仕入税額控除できる税額は、インボイスに記載された金額のみを積み上げ計算する方式をいいます。帳簿に記載された金額から割り戻し計算を行う日本とはこの点が根本的に異なります。具体的な要領は以下のとおりです。
現地法人会議室にて
まず、事業者はインボイスにあたる「増値税発票」をあらかじめ、日本でいう「印紙販売所」のようなところで購入しておきます。次に支払を受けた事業者は相手先(支払先)の求めに応じて、この増値税発票に自社名・金額等を記載したうえで交付します。支払者たる事業者はこのインボイスをまとめておき、インボイス発行後90日以内に税務当局に持っていき、「仕入税額控除認証」をしなければなりません。この「認証」までをも含めたところが仕入税額控除の要件となっています。また、例え支払が銀行振込によっている場合であっても、インボイスが欠けている場合には、仕入税額控除は認められません。話しは本論からそれますが、この様に増値税発票の管理にかける税務当局の意気込みはすごく、また通常の領収書についても統一形式の領収書の普及促進を目指してか、50元以上のインボイスにはスクラッチのくじ(銀色に覆われていて、コインで削ると「あたり」「はずれ」があらわれるもの)がついています。現金が賞金となっているようです。私が目にしたものはすべて「はずれ」だったようですが・・・。
さて、この増値税に関する仕入税額控除、以上のことから次のようなことが考えられます。まず、増値税に関しては「税抜き経理」が原則的経理方法です。帳簿方式を採用している日本では支払に関する会計データを入力すれば、その支払額に含まれる消費税額を自動計算してくれるわけです。税抜き経理であれば、本体価格と「仮払消費税」に自動的に分けてくれる。税込経理であっても、課税期間内の納税額はクリックしたら表示されます。取引の属性によって、非課税取引・課税対象取引の区分にさえ留意しておけば事足りるといえるでしょう。ところが、インボイス方式だとそうはいきません。売上については日本と同様、税込の売上総額からいわゆる「仮受消費税」を割り戻しの方法により計算できますが、支払については、この増値税発票のあるもの、ないものが混在している可能性があり、増値税発票の備えられたもののみの増値税を「仮払消費税」として集約していく必要があるからです。因みに、中国では「仮受消費税」「仮払消費税」ともに「未払税金」という勘定科目に一本化して集計していくようです。
セミナー後懇親会終了後写真
会計ソフトを使用する場合ですが、会計データーの入力に際してはこの増値税発票の有無を確認しながらすすめることとならざるを得ません。帳簿方式に慣れてしまった我々から見れば相当に煩雑な入力作業だといえるでしょう。増値税の申告期限が1ヶ月単位で到来することを考え合わせると、その労力の大変さは容易に想像できます。つまり、税理士事務所が入力作業をできる範囲の事業者は相当規模の小さいところに限られてくるように思います。ある程度取引量が増えてきたら「自計化」が必須となってくると思われます。