あなたは納税者を守れるか

-税務調査の適正手続-[平成24年度改定版]

「税務調査」は、我々税理士にとって関与先との信頼関係を大きく左右する業務上最も重要な事柄です。もっとも納税者にすれば、無事に税務調査を終え、臨時の無駄な支出のないよう普段から指導を受けることが税理士に業務を委任する最大の理由と言えます。

税務当局には「質問検査権」という権限があり、納税者には「受忍義務」という義務があります。その権限と義務の枠の内で税務調査は行われるべきであるにもかかわらず、その権限をはみ出して税務調査が行われたという事例が数多く見受けられます。そのような税務調査が行われれば、納税者は国に対して不信感を抱くだけでなく、「税金は納めるもの」という意識から「税金は取られるもの」という意識に変わっていくでしょう。

これは、日本の現行法がただ単に納税者の義務のみを規定し、納税者の権利が規定されていないということにも起因しています。このような税理士業務のうちかかる重要事項について法制度が不備であり、トラブルが絶えないことは我が国の税務行政にとっても極めて残念なことであります。

そこで兵庫県支部では、昭和58年に兵庫県支部が作成した「あなたは納税者を守れるか」という小冊子の改定版[平成24年度改定版] を作成いたしました。先輩会員が培ってきたノウハウをベースに更に磨きをかけて送り出すことが出来ました。

必ずや会員諸兄姉の業務遂行の上で役立つものと確信しています。今後はこの冊子を足がかりとして、関与先との信頼関係が更に深まるよう税務調査に対処されることを熱望致します。

「あなたは納税者を守れるか」の内容は会員専用ページよりご覧いただけます。

目次

第1章  税務調査の意義

【問1】 税務調査にはどのような種類があり、またどのような法律に基づいて認められているか。(p1)

第2章  事前通知の場面

1.事前通知なき調査 【問2】 顧問先から突然(事前通知なしに)、「税務署員が調査に来た」との電話があった。
このとき、どのように対処すればよいか。(p6)

2.関与税理士対する事前通知 【問3】 納税者に事前通知し、その際に「関与税理士に通知しておいて下さい」と言うのは、
税理士法34条の事前通知として認められるのか。(p11)

3.調査に対する調査延期の申し出 【問4】 税務署より、特定の日に調査したいという連絡があったが、これを延期してもらうことができるか。(p15)

第3章  質問検査権の行使場面

1.質問検査権の行使に対する制約 【問5】 質問検査権の行使は無制限にみとめられるか。(p18)

【問6】 税務職員が当然のように「帳簿書類その他の物件を持ち帰る。」と言ってきた。
あなたは持ち帰らせる?持ち帰らせさない?(p23)

2.納税者による許可がない場合の調査 【問7】 納税者の許可なく机の引出し・従業員用ロッカー、金庫及びパソコン等を調べることができるか。
他方、納税者は、これらを許可しないことが認められるのか。(p27)

3.進行年度の調査 【問8】 質問検査権の行使で、進行年度分の調査はできるのか。(p32)

4.質問検査権と守秘義務 【問9】 病院等の調査において、カルテは自由に調べることができるか。
また、弁護士、司法書士等の事件簿は自由に調べることができるのか。(p34)

第4章  反面調査

【問10】 反面調査はどのような場合に認められるか。(p41)

【問11】 顧問先がその取引先等についての反面調査を受けることとなる場合、顧問税理士としてどのような対応が考えられるか。(p45)

第5章  質問検査権の実施後の手続き

1.修正申告の勧奨 【問12】 税務署員から修正申告の勧奨を受けた場合にどのように対応すべきか。(p48)

2.不服申立手段 【問13】 税務調査の進め方や税務調査における課税庁側の指摘事項について、法的に問題があり、納税者が不満を有し、その対応を求めてきました。
そのような場合に、どのような対応方法が考えられるでしょうか。
また、質問検査権の行使が違法であった場合、どうなるでしょうか。(p52)

////コラム////

<身分証明書について>(p4)
<事前調査における調査理由の開示について>(p10)
<預かり証について>(p26)
<合意によるみなす審査請求>(p59)