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答
土地管轄による調査権の制限があると考えるべきである。
つまり、納税地の所轄税務署等は、所轄区域内においてのみ調査できるのであり、所轄区域外の調査は、その区域管轄等に嘱託する必要がある。なお、国犯法12条は、収税官吏の権限の地域的限界を法文上明確に規定している。
また、公表されずに削除された昭和37年国税通則法原案が税務職員の管轄区域外における質問検査を可能ならしめようとした内容であったことは注目に値する。
(参 考)
昭和37年国税通則法原案
(公表されず削除)
第75条(税務職員の管轄区域外における質問検査権等の行使)税務職員は、国税の調査のため必要があるときは、その所属する税務署管轄区域外において第69条(質問)から第72条(立ち入り)までに規定する権限を行使することができる。
国税通則法の制定に関する答申(昭和36年7月5日 政府税調)
第5章 記帳義務および質問検査権等
1.記帳義務(略)
2.質問、検査および諮問
(1)質問、検査および諮問の対象となる者の範囲
質問、検査および諮問の対象となる者の範囲については、基本的には現行規定を維持するものとするが、各税法において若干の不統一がみられるので、所要の整備を図ったうえ、これをできるだけ統一的に国税通則法に規定するものとする。
(2)質問、検査および諮問の権限の行使と税務官署の管轄区域との関係
質問、検査および諮問の権限の行使と税務官署の管轄区域との関係については、現行各税法において不備不統一がみられるので、これを明らかにすることとし、税務職員は、その所属する税務署の管轄区域内に納税地のある納税者のためにする質問、検査および諮問については、その管轄区域の内外を問わず、権限を行使することができるものとし、その所属する税務署以外の税務署の管轄区域内に納税地がある納税者のためにする質問、検査および諮問については、その管轄区域内に当該納税者の支店、事業所、取り引先等がある場合において、当該支店、事業所、取引先等にかかわる質問、検査および諮問につき、上記と同様な権限を行使することができるものとする。
調査権の及ぶ地理的限界について
(新井 隆−)
税務職員が、その質問検査権を行使しうるのは、行政組織法上、税務行政庁(官公署)について土地管轄の定めがある以上、その税務職員が所属する税務官公署の管轄する地域(土地)に限られる。それゆえ、この管轄地域以外の地域に住居を有する人・団体、この管轄地域以外の地域に存在する物件については、その税務職員は、質問検査権を行使することができない、というべきである。
(「租税法の基礎理論」P129 日本評論社)
(北野 弘久)
行政組織法上官庁について土地管轄の定めがある以上、原則として、質問検査権行使の相手方(被調査者)について土地管轄を有する税務官庁の職員が当該職員であり、かつ、彼はその所属官庁の土地管轄内において質問検査権の行使ができるものと解される。 (中略)
この点につき実体税法上の調査権に関して注目されるべき規定として、法人税法155条がある。同条は、納税地の所轄税務署および国税局の当該職員以外の職員の調査権についての規定であるが、そこでは、所轄区域内の調査権のことが規定されており、土地管轄による制限が予定されているものと解される。この規定との連関において、同法153条・154条を理解すると、それらにおいても、土地管轄による制限が予定されているものとみることができる。つまり、納税地の所轄税務署等は所轄区域内においてのみ調査できるのであり、所轄区域外の調査はその区域管轄署等に嘱託する必要がある。このようにみると、同法18条の納税地の指定の制度もより積極的に生きてくる。所得税法には、法人税法155条のごとき規定はないが、同趣旨に解するのが妥当のように思われる。
(「杉村章三郎先生 古稀祝賀 税法論文集」P21〜22 三晃社)
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